清め塩

前回の記事ではお葬式のはなしでした。
先日おまいりさせていただいた式でもそうだったのですが、最近はお葬式の後に清め塩が配られることが少なくなってきているように感じます。以前は必ずお塩を渡してもらえましたが、今は御塩がないこともよくあります。

これ、「清め塩を廃止しよう!」という主張する方々があるからだと思います。それが着実に増えてきて浸透してきているのでしょうね。

清め塩は、お葬式のあと自宅に帰ったときに体に塩をふる、または塩を踏むことで穢れを落とすとされる民間の風習ですが、これが仏教の一部宗派や、一部団体によって清め塩はけしからん、廃止すべきという行動になっていました。

ここ京都でも、2006年(平成18年)4月に宮津市清め塩啓発問題(みやづしきよめしおけいはつもんだい)という問題がおきています。宮津市が清め塩の慣習を否定する主張を展開し、廃止を訴えたチラシを市内全戸に配付したり、火葬申告に市役所を訪れた人に清め塩をやめるよう指導したという事件。
これらは全国から批判が殺到し5月2日に見直しが発表されました。

清め塩廃止の主張のおおまかなところは、生と死はひとつのものであるから死は穢れではない。生きている間大好きだった人が死んだからといって穢れるわけではない。穢れを祓うとして清め塩を使うのは死者を冒涜している、とそんな感じです。
仏教の特定宗派で死の穢れに関することで日本古来のもの(神道)のものとは違う考え方があるのはそれはそれでいいと思いますが、それを考え方が違うから廃止すべしと今までの伝統的な習慣を排除する動きはやめてほしいなあと感じます。


当たり前ですが清め塩で穢れを祓うという事は別に死者を穢れとして扱っているわけではありません。死という現象、出来事が穢れであって先ほどまで生きていて大好きだった人が死んだからといって穢れたわけではありません。
また「穢れ」は「気枯れ」でもあります。字のごとく気が枯れる状態、死ぬということは生命力が枯れた(気枯れ)ですし、死に触れたことで悲しみ、苦しみ、元気がなくなってしまった状態ですから、気枯れを祓うとは自分自身が気力のみちた元の状態に戻ることでもあります。

悲しいのは当たり前ですが、しかしいつまでも悲しんでばかりいるわけにはいきません。残された人は生きていかなければいかないのですから、気力は充実させなければいけませんので気枯れを祓うのは必要だという理屈は成り立つと思うんです。
亡くなった方もいつまでも悲しんでばかりではなく、残った人が元気に生きてくれるほうがうれしいのではないかな。


あとはハレとケの風習でしょうか。ハレとは晴れ着(大事なときに着る着物、今で言う勝負服?)とか、晴れの舞台(一生に一度の大事なこと)とかいうときの「ハレ」、非日常を意味します。
ケはそれの反対で日常のこと、普段のことです。江戸のころまでは普段着は「ケ着」ともいっていたようです。
このように日本では日常と非日常を区別する習慣がありました。
それと同じ考え方で、死という非日常から、日常の生活に戻るために清め塩をつかって普段の世界へ戻ってくるというような感じです。

ちなみに結婚式はおめでたい式だからハレというのはすぐに理解できますが、葬式は悲しいものだからハレなのか?というのはちょっと難しいところですが、でも前回記事でも書いているように神道の葬式は「葬祭」、祭りです。非日常であるとういのは間違いないと思います。

とまあこんな具合に清め塩は私たちの祖先が生きてきて自然とつくってきた習慣ですし、この国の伝統的な文化のようなものですから、残していってほしいと思うんですけどねえ。だってその国の伝統がなくなっていくということは、国のルーツがなくなるってことで、それが進むと国そのものがなくなってしまいますよね。日本列島だけ残ってもそこに住む人が完全に入れ替わったり、今まで培ってきた伝統がなくなったらそれは別の国ですよね。

神道では清浄が第一で、穢れを祓うというのは基本中の基本で神道は祓いの宗教です。神道では何をするのでも必ずまず祓いをしてからです。で、塩は祓いのメジャーアイテムのひとつです。塩湯(えんとう)といって塩を溶かしたお水をつかったりします。お相撲さんも土俵で塩をぶわぁ~っとまいて土俵を清めたりしてますし。


お塩、残しておいてほしいなぁ・・


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コメント

へ~っ

清め塩廃止活動も宮津でそんな事があったのも

今…初めて知りました

仏教系の宗派?
破折してやろうかな


釈迦は弟子に…

生きている人を導きなさい
死者を弔うのは家族に任せなさい

…と説いてます


現在の仏教は葬儀もするし初七日や四十九日(道教の影響)も有りに、進化(退化)してるのに

風習まで否定するのは思い上がりが過ぎます


塩に殺菌作用があるのは古来より知られてました
清め塩は死をもたらしたモノから身を守るのがはじまり

死者ではなく「死と言う非日常」を払うのに使うのに

その団体の主張は間違ってる

いったいなんという団体ですか?

2012/06/13 (Wed) 20:07 | マガミ #- | URL | 編集
ワタシも、、、

これを拝読するまで
清め塩の問題知りませんでした。

宮津市の事例、リンク記事も読みました。

しっくり来ない。腑に落ちない。

神主さまの言葉の方が、すっと落ちます。

日本人が古来守ってきたもの、
消えゆく風習も多いですが

その意味を理解した上で
次の世代、そしてまた次の世代へと
繋いでいきたいですね。

2012/06/15 (Fri) 00:38 | りんだ #- | URL | 編集
大和心

私も、そんな塩騒動があったこと知りませんでした。

お葬式から帰って来たらお清めって、子供の頃から普通にしてました。

お相撲さんが取り組みの前にパーッと塩をまいて 手に残ったのを舐めてるのを見てると、気合いを入れてるみたいにも見えます!

やはり、日本古来の風習は意味があって今日まで残ったのだと思うので、私たち現代人の都合で変えてしまってはいけないと私は思います。

2012/06/15 (Fri) 19:53 | 見古都 #- | URL | 編集
マガミさま

宗教的な観点から清め塩をやめようという「宗派」と
それを別の問題とからめて展開しようとする「団体」と
というところでしょうかね
あまり固有名詞は出したくないのですが
リンクしているウィキペディアにのってますよ

2012/06/16 (Sat) 18:40 | 神主 #X.Av9vec | URL | 編集
りんださま

ありがとうございます。
わたしも全部が全部、昔のままというのはどうかな、と思います。
その時代時代を人は生きているのですから、時代にあった風習というのがあるのですから。
あわないものはやめればいいと思いますが、
残せるものは残したいなぁと

2012/06/16 (Sat) 18:43 | 神主 #X.Av9vec | URL | 編集
見古都さま

私も子供のころは、うちもそうですが、まわりでもごく普通に塩をつかってましたけど。
最近ほんとにそれらを見かけなくなってきました。
現代にあわない、おかしい、ものはいたしかたないと思いますが、
そうでないなら残しておきたいなと思ってしまいます。

2012/06/16 (Sat) 18:45 | 神主 #X.Av9vec | URL | 編集

塩って云えば、敵に塩を送るっていう武田信玄と上杉謙信の故事を思い出します。昔は塩は貴重なモノだったんですね。

茄子と胡瓜の見立ての牛と馬の話しも最近の世の中じゃ……そこに込められた想いが分からなくなってしまってますよね。

2012/06/17 (Sun) 18:55 | ジンジャー #- | URL | 編集
神主さま

調べてみました

死後の世界(地獄極楽)をひろめた宗派が主体でした

言いがかりをつける理由がわかりました

2012/06/18 (Mon) 19:09 | マガミ #- | URL | 編集
塩だけ?

清め塩だけじゃあなくて、祓い清めで撒くのは、米・粟・豆もそうじゃないですか?

まあ神道は、人間の罪悪を責め罪人を処罰する宗教とは違って、「清、明、正、直」の心を尊びますから……あることの悉くを善しと信じますネッ。

2012/06/18 (Mon) 21:28 | ジンジャー #lH9P8MKE | URL | 編集

難しい宗教のことは、わかりませんが…

外国人が憧れる日本人としての、風習や習慣は、大切にしたいと思います。
日本は、世界中どこにもない国だと言われることに誇りを持ちたいと思います。

2012/06/19 (Tue) 20:03 | 見古都 #- | URL | 編集
ジンジャーさま

敵に塩をおくる・・そうですね、塩は貴重品だったんですね。人間が生きるために絶対必要ですし、殺菌、腐敗防止など必需品だったことでしょう。
散供等塩以外でも使うことはありますが祓いに使うのは塩が圧倒的に多いですね。ほぼ毎回使いますもの。大麻、塩湯は基本形ですし。
「浄、明、正、直」つねに心をそうありたいものです。

2012/06/19 (Tue) 22:34 | 神主 #X.Av9vec | URL | 編集
マガミさま

宗派、団体のことも書いてありましたでしょう?
わたしは伝統的にそうやってきたのだから、そのままにしておいてほしいのですけどね。
決定的におかしいわけではないと思うので。
ちょくちょく見ていますと、清め塩の意味等あまりご存知ない方が、清め塩はおかしい、と主張されているように思います。

2012/06/19 (Tue) 22:37 | 神主 #X.Av9vec | URL | 編集
見古都さま

大切にしていきたいですね。ほんと。
世界中みわたしても類を見ないと思うんです。
もちろんどこの国もそれぞれに素晴らしいところがあり、大切なものですけどね。
誇りをもっていたいものです。

2012/06/19 (Tue) 22:39 | 神主 #X.Av9vec | URL | 編集
神主さま

金額によって戒名に差をつけ
死者を金儲けに利用するのは

冒涜以上の大罪です


人様にイチャモンつける前に
自分の足下を見ろ
…と言いたいです。

2012/06/20 (Wed) 01:47 | マガミ #- | URL | 編集
風鈴も不憫

日本には、本当に誇れる風習がありますよね!

ただ、先日聞いた話だと、最近 風鈴が売れなくなったらしいのです!

あの 風に揺れてチリン チリンとなる音が

うるさいと近所から 文句が出るそうです!

なんだか…寂しいですよね!

衣替えをしたら、家も衣替えするものだと子供の時から思ってましたが…
それが時代遅れと言われたら凹むのは私だけでしょうか?

2012/06/22 (Fri) 17:41 | 見古都 #- | URL | 編集
マガミさま

もともとはそうなったのにもいろいろな事情があるんでしょうけどね。
まあしかし考え方が違うからそれを廃止せよ、というのはやめてほしいなという感じです

2012/06/24 (Sun) 22:48 | 神主 #X.Av9vec | URL | 編集
見古都さま

なんと、風鈴がそんなことなっているのですか
肩身のせまい思いをしているんですね
さみしいなぁ
風鈴の音がうるさいと苦情をいう人が増えているのなら神社の落ち葉に苦情をいう人がいるのも当然か・・・
たしか、行政に街路樹は緑があっていいけど、虫はイヤだから虫の駆除をしろという苦情も多いとか聞きます

2012/06/24 (Sun) 22:52 | 神主 #X.Av9vec | URL | 編集
余談ですが…

風鈴は、なぜか外国人が好きです!

ガラスの風鈴は一種の芸術で日本人の手先の器用さと、音に日本人の繊細さを感じるからだと言います。

なんだか嬉しいですよね!

それと、義弟がマレーシアで蚊取り線香を焚いたところ、バタバタと落ちたそうです!

どんな防虫剤より蚊取り線香が効くようで、思わず現地人にどや顔でアピールしたそうです!

2012/06/26 (Tue) 18:12 | 見古都 #- | URL | 編集
見古都さま

東南アジアのほうでだったかな、蚊取り線香もそうですが蚊帳がすごく好評なんですよね
伝染病の防止にすごく役立つとか

2012/06/27 (Wed) 19:19 | 神主 #X.Av9vec | URL | 編集
神の御塩

お清めの禊は多分、イザナギさまの禊による神生みの段によれば川河口の海水と真水が入り混じった気水域で行っていたのかも知れませんね。
清め塩の源泉を求めるとこの神話に行き着くのかも知れません。

お米は高天原から下し措かれた貴い食物。そこからさらに手間暇を掛け醸し出された御酒は最上級の捧げ物の一つ。

他方、岩塩のないわが国で塩を得る方法は四方を囲まれた海水から得るしか術はなく、
結晶化、粒状固体化する方法として
神代から伝わる最古の製塩法は和歌にも度々とりあげられた藻塩製塩法。
この藻塩製塩法はとんでない重労働とコスト、手間暇、時間を要した大変なもの。
言わば、海水とホンダワラ(海藻)から醸し出した神の御塩が藻塩。
神様方も食していた塩がこの藻塩かと。
故に、神前や神事に供するに最上級のものかと愚考いたしおります。
また、ミネラルがたっぷりの美味しいお塩。
現代でも最も高価なお塩の一つ。
(100グラムあたり数百円以上。/近年近代工法で再現発売されています。「淡路島の藻塩」オススメ(鳴門海峡(大祓の場面)の海水由来))

因みに、実際に藻塩製塩法の工程で素焼き坩堝で海水を焼き上げていくと
国生み神話でイザナギ、イザナミさまが天浮橋に立たれて天沼矛を地上界に引き下ろして掻き回した時の擬音と同じように
海水(潮)が「コオロ、コオロ」と軽やかに鳴き出します。(過年、淡路島で実証実験済み)

藻塩製塩が余りに非効率な為に編み出され?広く導入されたのが入濱式塩田による製塩法。所謂「天日粗塩」

2012/07/27 (Fri) 16:19 | たぬき #EvmDRqhQ | URL | 編集
たぬきさま

> 清め塩の源泉を求めるとこの神話に行き着くのかも知れません。
そうだと私も思います。


> 因みに、実際に藻塩製塩法の工程で素焼き坩堝で海水を焼き上げていくと
> 海水(潮)が「コオロ、コオロ」と軽やかに鳴き出します。(過年、淡路島で実証実験済み)
私は塩製塩法の工程というものを経験したことがないのでわかりませんがおもしろいですね。
天沼矛を地上界に引き下ろして掻き回した時の擬音と同じというのがいいですね!

2012/07/31 (Tue) 21:21 | 神主 #X.Av9vec | URL | 編集
清め塩について。

死という現象、出来事が穢れというのはどうでしょう。確かに私たちにとって死は忌み嫌うものであり遠ざけてしまうのが当然かもしれません。
ですが、「生」を受ければ「死」は当然であります。「死」があるから気付かされることもあるし、私達のこれからの生き方を考えさせられる事象であるので、一概に「穢れである」という事は思いません。

そして、早く元気に生活できるようにという願い…葬式後の遺族の方を見ていると誰しもその思いは持つでしょう。私もそうです。
ですが、清め塩の役割はあくまで形式的なもの・きっかけ作りであって、本当に悲しみから脱却を願うのであるならば、神主さんご自身が、遺族の方の悲しみに寄り添い共に歩いて行かれることが重要なのではないかと思います。もうされてあるならすいませんが。

ですから、必要だという人があるなら使われたらいいですし、私達の様に必要ないと思えば葬式時に使わなければいい話です。

因みに私は廃止するのは反対です。

2013/01/04 (Fri) 10:31 | 僧侶ちゃん #- | URL | 編集
僧侶ちゃんさま

ご意見書き込みありがとうございます。

読んでいただければおわかりいただけると思いますが、清め塩を必要としない方々を批判しているわけでもなんでもありませんので。くれぐれも誤解ないようにお願いいたします。

>ですから、必要だという人があるなら使われたらいいですし、私達の様に必要ないと思えば葬式時に使わなければいい話です。
私も書いていただいているのとまったく同じように思っていますのでスタンスはほぼ同じだと思います。
必要ないと思われるかたに無理に使ってくださいと言っているわけではなくて、
必要とする人もいるのですから、自分たちは必要ないから廃止すべし!というような活動をするのはやめてほしいなあといっているだけですので

> 因みに私は廃止するのは反対です。

2013/01/06 (Sun) 21:45 | 神主 #X.Av9vec | URL | 編集

浄土真宗の葬儀でお浄めの塩がいただけず、
仕方なくいったん家に上がって持ってきた荒塩を使ったことがありました
どうしても気になるんですよね

それ以来、玄関にお塩の容器を置くようになりましたが、
できれば日常との線引きをするための塩はきちんとつけてくれるほうがありがたい

2013/05/03 (Fri) 22:31 | #NkOZRVVI | URL | 編集
Re: タイトルなし

書き込みありがとございます
そうですね。
私の感覚も日常との線引きのためにも御塩は使いたい、というものです。

しかしつねに玄関に御塩の容器があるのですが、それはすごいですね

2013/05/06 (Mon) 22:37 | 神主 #X.Av9vec | URL | 編集

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前回の記事ではお葬式のはなしでした。先日おまいりさせていただいた式でもそうだったのですが、最近はお葬式の後に清め塩が配られることが少なくなってきているように感じます。以...

2012/06/18 (Mon) 17:09 | まとめwoネタ速neo